水墨画入門 6

水墨画入門 6

5)白いバック(背景)が大前提。

当たり前のことですが、水墨画の背景は、紙の地色が基本です。

紙の性質上、筆跡が残るので、べた塗りということが出来ません。それに下地となる墨色を塗ってしまうと、紙の繊維が膠をすってしまい、その上からはきれいに墨が入りません。よって地色は、紙の色のまま描くことになります。

真っ白なシクラメンを、墨で白い紙に描いてみて下さい。どうします?

油絵や日本画なら、深いブルーグレーなどの下地を塗ったキャンバスに、白い絵の具で描くことが出来ます。そしてバックと花が一体となるように、花の中にもバックの色を少し入れていったりもするでしょう。

水墨では、白い花を「表現」するしかありません。
そして花の中に白い背景の色を「表現」するしかありません。

水墨画は、白い紙に描くのは当たり前と思われるでしょうが、絵を描くということからすれば特異なことで、その不自由さゆえに水墨ならではの表現が生まれてきたのでしょう。


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at 10:32, 篠原 貴之, 水墨画入門

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水墨画入門 5

水墨画入門 5

5)何度塗り重ねても、始めに描いたものが、あとに描いたものの手前に現れる。

水墨画は、基本的には墨色を生かすため生の紙(滲み止めを表面に施していない紙)に描きます。よって 墨は、絵の具のように、紙の上にのっかるのではなく、紙の繊維の中に入って定着します。

一度墨が入った場所には次に描いた墨は入りにくくその周辺に散ってしまい、何度塗り重ねても始めに描いたものがそこに残ります。

特に画仙紙という、最も墨に敏感な紙を使うと、顕著にその特色が現れます。

このことは、手前に見えるものを先に描くということで、塗り重ねてゆく絵と、描き順が逆になります。初めが適当で、だんだん細かいところを丁寧に描いてゆくのではなく、最初に決定的な仕事をするのは、気持ちの上でも違う覚悟が必要です。


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at 17:30, 篠原 貴之, 水墨画入門

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水墨画入門 4

 水墨画入門 4

4)筆の根元から水を入れる。

いったん墨の入った筆に水分を足すときは、筆の根元から水を入れます。
筆先から水を取ると、せっかく始めに作った筆先から根元までの墨のグラデーションが
バラバラになってしまいます。

穂先が上になるよう筆洗の縁に筆を押しあて、そのまま水面まで下げて根元にだけ水につけます。初め見た時は、何を変なことをしているのかと思っていたのですが、そのうち意味が分かり、今や無意識にこの方法を使い描いています。

始めは筆洗から直接筆の根元に水を取るのは難しいので、
別の筆に水を取り根元に入れると簡単です。


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at 23:05, 篠原 貴之, 水墨画入門

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水墨画入門 3

水墨画入門 3

3)いきなり濃いところから描き始める。

 絵を描く場合、最初薄く描いておいてから、だんだん濃くしていくものと思いますよね。
それが水墨画では逆になります。

 理由は二つあります。

 一つは筆の中につくった墨のグラデーションを使って描くという、筆と墨の関係です。
この描き方では、必然的に描き初めが濃く、墨がきれてくるにつれて薄くなります。

 もう一つは、生の紙(滲み止めを表面に施していない紙)に、最初においた墨が最もきれいに発色するという、墨と紙の関係です。
生の紙は最初は墨をしっかりと吸込んでくれます。でもそのあとはもう紙の繊維が墨の膠分吸ってしまっているので、描いた墨は紙に食い付かれることなく、紙の表面を漂ってしまいます。

 よってきれいな墨色は、一発勝負で描く必要があり、少しずつ塗り重ねて描くわけにはいかないのです。


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at 13:29, 篠原 貴之, 水墨画入門

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水墨画入門 2

水墨画入門 2

2)使う絵皿は一枚だけ。

 複雑な墨色を表すためには、濃い墨から薄い墨までさぞかしたくさんの絵皿を用意するのかと思いきや、使う絵皿は少し大きめの絵皿一枚だけ。

 水墨画では、絵皿は使いたい色を作っておく容器ではなく、単に筆の中の水と墨を練り合わせる場所です。そこで筆の中に必要な墨の諧調を作ります。




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at 23:39, 篠原 貴之, 水墨画入門

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水墨画入門 1

水墨画入門 1

 本格的に水墨画に取り組みはじめて15年経ちました。
それまで油絵や彫刻を勉強し、いろいろな美術を見て来たつもりでした。それが中国に留学し、水墨画を初めてみると、その技法や描く時の考え方が他とはまったく違う、未知の世界であることを知ることになります。驚いたことを、少しずつ紹介したいと思います。

1)絵を描いている間、筆洗の水が汚れない。

 水墨画では、基本的には筆にとった墨は全て画面に使います。
筆に水を含ませ、次に筆先に墨をつけ描いてゆくと始めは濃い墨が出てだんだん墨が薄くなり最後には水になります。この原理を使って描くと、取った墨は全て画面に使い筆を洗う必要がありません。中国では、墨を使うこと金の如しと言います。初めは墨を大事に使いなさいと言う精神論だと思っていたのですが、最近になり必要な量の墨を用意し、必要な量の墨を筆に取らないと、きれいな絵が描けないという合理的な方法論だと感じるようになりました。

いい水墨画家は筆洗いが汚れない!!!



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at 23:00, 篠原 貴之, 水墨画入門

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