2010年ヨーロッパの旅20ーポルトガルでひとを描くー



前回ポルトガルを訪ねた時から、一度ポルトガル人の肖像画を描きたいと思っていました。
素朴で、はにかむ表情がどことなく日本人と相通じるものがあり、子供の頃祖父や祖母に抱いていた、ゆったりとして暖かく、懐かしい何かが、まだポルトガルのひとたちの中にあるのです。

ひとを描くというのは、どのようにモデルになってもらうか、なかなか難しいのですが、今回ワークショップで知り合ったテレーザさんというポルトガル人の作家が、相談にのってくれました。

私の描きたいような年配のひとがいる広場や市場、barや漁村などへ数日一緒に廻っていただきました。
描きたいひとが居ると頼んでくれ、その場で10分から15分ほどスケッチをさせてもらいます。


ポルト 漁村スケッチ


ポルト 漁村スケッチ


ポルト 漁村スケッチ

ポルト 漁村スケッチ

彼女は描いている間もモデルが緊張しないようにいろいろ話をしていてくれます。




ポルト 漁村スケッチ

初対面のモデルとの話は、時に深刻な様相を呈し感極まり涙を浮かべてしまうこともありました。
帰りに、話の内容をテレーザさんに聞くとほとんどが昔の話で、貧しかった当時の苦労話です。

ある漁師は3年の徴兵か、5年の北の危険な海での鱈漁かの選択に、鱈漁を選択し極寒の海での辛い日々を送った話を語ってくれました。

ファドのように溢れ出る悲しい話をテレーザさんが説明してくれたことで、今回の人物スケッチはより、印象深いものとなりました。




 

at 17:03, 篠原 貴之, 2010年ヨーロッパ旅行

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2010年ヨーロッパ旅行17ーRobert Faure 展ー




Toulon滞在中に、今回招待頂いた、墨絵講座Art-Zen代表Robert Faure さんの展覧会が、海岸沿いのギャラリーで開催されました。

Robert Faure 展
Robert Faure 展会場


Robert Faure 展



Robert Faure 展



オープニングパーティに参加したところ私も新聞社の取材を受けました。彼の墨絵をどう思うか? 
フランス人ということを抜きにして、率直な意見を聞かせてほしいと、新聞記者が、作家本人の通訳で尋ねて来ます。

答えはもちろん トレ・ビアン!!! 中国で学ばれた伝統的な水墨画を基礎に、身近なヨーロッパの風景や花等も描かれています。フランス人がこんなに情熱的に水墨の良さを語り、描きいているのを目にして、普及ということに際し、私ももっと日本でやるべきことがたくさんあるのではと、反省し、いい刺激になりました。




Robert Faure 展



Robert Faure 展
作家Robert Faure 氏、奥様と





at 23:08, 篠原 貴之, 2010年ヨーロッパ旅行

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2010年夏ヨーロッパの旅 15 ―ヴェネチアへー

JUGEMテーマ:水墨画




寄り道していたスイス、イタリア国境の町 chiassoからヴェネチアへ。駅で知人と待ち合わせ、用意していただいたアパートに向かいました。

ヴェネチアへ行く際、いつも初めは消極的な気持ちになります。観光客は年中多いし、物価は高いしと、あまり乗り気がしないのです。でも着いてしまうとその町の美しさに圧倒され、そんなことは吹っ飛んでしまい、夢中で町中を歩き回ってしまいます。



ヴェネチア
ヴェネチアの顔 san salute 教会


ヴェネチア
ゴンドラのドッグ



ヴェネチア 
水位の上がったsan marco 広場



ヴェネチア
ヴェネチアでは運河が道。船が車や電車となり、荷物が橋につかえて、立ち往生という風景も。



今回は、ヴェネチアでの展覧会の誘いを受け、会場を下見に行くという目的で、フランスの仕事の合間に訪れたのですが、町を見てしまうともう描きたくて2泊3日という短い間でしたが、朝から晩までスケッチに明け暮れました。

墨でヴェネチアを描く際の魅力は、光と水です。緻密に設計された建造物ばかりを追いかけると、建築パースのような絵になってしまいます。町中に張り巡らされた運河の水や、そこから湧き立つ霧、光と陰といった自然を取り込み人工物に変化を与えことで、墨による表現が魅力的になって来ます。



ヴェネチア 会場
会場候補地 il parazzo prigone


ヴェネチア 会場
il parazzo prigone



ヴェネチア 会場
il parazzo prigone









at 02:10, 篠原 貴之, 2010年ヨーロッパ旅行

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2010年夏ヨーロッパの旅 14 ーへルマン・ヘッセの愛した村ー



滞在中の友人宅の近くにヘルマン・ヘッセが晩年を過ごした村があり、行ってみることにしました。ルガーノ湖近くのmontagnolaという小さな村です。


montagnola ヘッセ
montegnolaの教会


学生時代にいくつか彼の小説を読んだことはありましたが、記憶に新しいのは、数年前釈迦の絵を描くのに、いろいろな資料を見ている中、ヘッセのシッダールタも読んでみました。彼の悟りを釈迦に託したような作品で、共感できる悟りのイメージが感動的に綴られていました。

この村を訪れてみて、彼が森を散策し、川の流れに身を写し、思索に耽ってあの作品が生まれたのかと想像するに容易い趣のある場所でした。


montagnola ヘッセ
ヘッセの家



montagnola ヘッセ

ヘッセの墓



montagnola ヘッセ
ヘッセの墓



montagnola ヘッセ
自作の詩をヘッセに捧げるひとが絶えない


at 06:48, 篠原 貴之, 2010年ヨーロッパ旅行

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2010年夏ヨーロッパの旅 13―マリオ・ボッタMario Botta in mt.Tamoroー





ルガーノ湖の近くにタマロという山が有ります。もともとスキー場だったところが、温暖化のため雪がなくなり、down hill という自転車のモトクロス版で、急な坂を駆け下りる競技の会場になった場所があります。

ロープウェイで2000数百mの山を登ると、途中から生態が変わり、別世界が広がります。


mt.tamaro



mt.tamaro



友人の息子がこのdown hill の練習に行くことから、私もこの山に登ることになりました。
頂上近くに、現代の建築ながら、なかなか環境に配慮したいい教会がありました。

mt.tamaro



mt.tamaro


mt.tamaro


mt.tamaro



何とマリオ・ボッタの作品。彼の建築は自我の強い建築のイメージを持っていたため、意外でした。階段の5センチ程の蹴込みにガラスを使い、階下の教会に自然光をもたらします。


mt.tamaro


mt.tamaro



mt.tamaro



mt.tamaro



mt.tamaro




mt.tamaro




内部の壁画にクッキを起用しオーソドックスな中に現代のイメージを添加しています。
思わぬところでいい作品に出会いました。

at 05:52, 篠原 貴之, 2010年ヨーロッパ旅行

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2010年夏ヨーロッパの旅 12 ―スイスに立寄るー




ヴェネチアで展覧会をしないかという話があり、候補の会場を見にヴェネチアに行くことにしました。

滞在地のトゥーロンから、コート・ダ・ジュールを見ながらニース、モナコ、ヴェンティミリア、ジェノヴァ、ミラノ、と列車を乗り継ぎヴェネチアに入ります。が余りに遠いので、途中、ミラノから30分程のキアッソという国境の町近くに住むスイス人の友人宅に寄りました。



スイス 



この夫婦とは、もう20年来の友人で、ヨーロッパに来ると必ずここに寄り、彼らも、もう何度も日本に来ています。
10歳程年上の彼らは、私の生き方のひとつの手本になっています。
アルプスの麓に家を築き、ブドウを育て1年分のワインを自分で作り、野菜やハーブを育て、仕事は50%という働き方で(正規採用でも働き方を選べる)、
奥さんも子供の成長に会わせて20%とか50%とか仕事の時間を選んで働いています。



スイス



スイス



スイス



彼らの生活を見て、こんな豊かな暮らしがあるのかと、大袈裟にいうと生きる意味のようなことを考えさせられました。
 この刺激で、日本に帰るとしばらくは家族を思い、暮らしを楽しむのですが、時間が経つとまたなぜか忙しくなり、仕事一辺倒の暮らしに戻ってしまいます。
仕事と生活のバランスを保ち、豊かに生きるためには、定期的に彼らの刺激が必要なのです。
2年ぶりに訪れた彼らの生活は、20年前と殆ど変わりのない暮らしが続いていました。

at 17:24, 篠原 貴之, 2010年ヨーロッパ旅行

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2010年夏ヨーロッパの旅 11 ―明るい陰―




南仏はこの時期本当に雨が降りません。夕立のようなものがよく有るそうですが、私の滞在中は降ったためしが有りません。朝の7時頃から夜は8時9時まで,強い日差しが降り注ぎます。

初めは、光と陰の強いコントラストにばかり気を取られていましたが、陰の中に入ると強い反射光を受けた明るい陰の色がとてもきれいで、これもまた南仏ならではの風景に成るのではと、光の見方が少し変わりました。




南仏







at 07:11, 篠原 貴之, 2010年ヨーロッパ旅行

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2010年夏ヨーロッパの旅 10 ―マーケット―




滞在中のtouronの町は毎日マーケットが出ます。メイン通りにたくさんの露店が並びます。色鮮やかな野菜や果物が並び、いかにも南仏らしい風景です。
このところ静物画を描くのも楽しく、モチーフに成りそうなものを毎朝、物色しています。


touron mercato




touron mercato




touron mercato




touron mercato




touron mercato






at 06:58, 篠原 貴之, 2010年ヨーロッパ旅行

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2010年夏ヨーロッパの旅 8―Touronへー



サンティエンヌで車を借り、Touronへ。
Aix en Provance で高速を降り、地道を走っているとどこかで見たような山が。
セザンヌ違うかと言っていると、やはりサン ヴィクトワールでした。
プロヴァンスをちょっとだけ味わい、待ち合わせの時間が迫りまた高速にのりTouronへ。


サン ヴィクトワール



今回招待頂いた、art-zen 主催者の方と、用意して頂いたアパートへむかうと、それは旧市街のどまんなかにあり絶好のロケーション。古い建物の中に入ると、20数年前にフィレンツェに間借りしていたアパートと同じ臭いが鼻を突き、いきなりタイムトリップしてしまいました。ひと月のTouron 暮らしの始まりです。


touron


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touron


touron アパート

at 18:36, 篠原 貴之, 2010年ヨーロッパ旅行

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2010年夏ヨーロッパの旅 7―Malleval―



山の中に築かれた石造りの町並みMalleval を訪ねます。険しい山道を通るので、岩に車をぶつけないように、こわごわたどり着きました。


malleval


malleval


malleval




at 18:26, 篠原 貴之, 2010年ヨーロッパ旅行

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2010年夏ヨーロッパの旅 6―Annony-



滞在していたBourg Argental から車で20分ほどの Annonayという街を訪れました。


annonay



annonay


at 18:20, 篠原 貴之, 2010年ヨーロッパ旅行

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2010年夏ヨーロッパの旅 5 ―子どもの居場所―



ワークショップで知り合った家族の家を訪問しました。
郊外に行くと、どこの家に行っても庭に子どもの居場所が有り、遊びにことかきません。


フランス人家族


フランス人家族


フランス人家族


フランス人家族



家庭ではもちろん、レストランに誘われても、子供連れだと中庭のテーブルを予約していてくれ、野外だと子供もストレスが少なく、食事の時間が長くなっても、庭を歩いたりちょっと遊んだりも出来るので、楽しく食事が出来ます。

フランス人家族

at 18:12, 篠原 貴之, 2010年ヨーロッパ旅行

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2010年夏ヨーロッパの旅 4 ―チーズ王国―




今回訪れたリオン近郊はフランスの中でもチーズの種類がとても豊富な地方で、食事の中でもチーズが重要な位置を占めています。メインの料理とデザートの間に必ずチーズという時間があり、何10種類ものチーズの中から好きなものを好きなだけ取って食べます。


bourg argental



牛の乳、山羊の乳、羊の乳、フレッシュなもの、ねかせたもの、クリーミーなもの、ポロポロしたもの、様々なチーズを味の弱いものから強いものへと食べ進んでゆきます。


bourg argental チーズ



チーズには赤ワインと思っていましたが、白ワインを合わせるチーズも有り、それを食べる食べにと、そのチーズのためのワインを開けて来ます。基本的には淡白な山羊や羊のチーズに白を合わせるようで、確かにこれだと日本酒でもいけそうです。



bourg argental チーズ


 只今、ここでしか味わえない、チーズを堪能中。

at 18:03, 篠原 貴之, 2010年ヨーロッパ旅行

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2010年ヨーロッパの旅 2



2日目、昨夜パーティーの勢いで約束した、今日帰る弟子たちのための展覧会を、道場で急遽開催。
ワークショップのために用意した掛軸がいきなり活躍。


フランス 道場展









どこまで興味が有るのか計り知れませんが、確かに感動しているひとも居ていい時間を持つことが出来ました。
外国に出ると、国籍ということを考えさせられますが、同時にパーソナリチーということも同じぐらいの重さで感じます。
フランス人はということも有りますが、国籍を越え、分かりあえるというひとが居るのです。



at 18:00, 篠原 貴之, 2010年ヨーロッパ旅行

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2010年ヨーロッパ旅行 1 

 

今回の旅は、トゥーロンにある墨絵の会art-zenを主催しているフランス人の招待で、水墨画のワークショップを開くことになったことから始まりました。
まずこの話を紹介頂いた、知人のフランス人武道家を訪ねることから、旅の幕開けです。

成田よりチューリッヒ経由でリヨンへ。
向かえに来てくれた知人の車で、ブール アルジェンタという彼の住む村へ向かいます。バカンスで南へ向かう車のピークで、高速は渋滞。地道を通りリヨンから2時間ほどの道のりでしたが、ローヌ川沿いの名高いワインのブドウ畑を目で楽しむうちにほどなく到着。

イタリアから先に到着していた妻と子どもたちと半月ぶりの再会。
休む間もなく、誘われるままに彼らのパーティーに合流。
行ってみると、今日は一週間の合気道の集中講座の最後の夜で、ヨーロッパ各地から集まった4、50人程のひとたちが集っています。


フランス パーティー


いきなり主賓席に案内され通訳のイタリア人が隣に配されます。開幕挨拶冒頭紹介され、状況がつかめぬまま、取り敢えず通訳を従えこちらも無難に挨拶。

フランス パーティー


弟子たちが、持ち寄った各地の料理が次々とテーブルに廻って来て、歌あり、ダンスあり、宴もたけなわ。歌わずには済まされず日本代表としてせんえつながら歌を一曲。歌うは琵琶湖周航の歌。


フランス パーティー


子ども連れの家族も多く、子どもたちはいきなり一緒に遊び回り、一番ちびはさすがにダウン。


フランス パーティー こどもたち


フランス パーティー こどもたち

フランス パーティー こどもたち



気がつくと既に午前1時過ぎ。私たち家族は失礼し宿へ。
日本時間では朝の8時半、夜を徹してしての長い一日が無事終わりました。


at 17:48, 篠原 貴之, 2010年ヨーロッパ旅行

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