水墨画塾について

水墨画塾について(京都教室 奈良教室 東京教室 動画画塾

 

初めに

 

私は京都で小さな画塾を開いています。

この画塾は、展覧会で私の絵を毎回観に来てくれている人たちが、この絵をどのように描くのか教えてほしいと頼まれたことから始まりました。 それなら出来るかなと、水墨画の一般的なことがらは抜きに、私の絵の描き方、考え方だけを教えています。もちろんその中には影響を受けた過去の画家の描き方や、考え方にフィードバックしてゆくのですが、こうゆう描き方も有るし、ああゆう考えもあるという概論は扱っていません。

 

画塾生

画塾生の対象は私の絵を知りたい方で、最低1年間毎回画塾に通え、学び描く熱意が有る方なら、年齢経験は問うていません。

画塾に来られた方は、京阪神を中心に遠くは東京、名古屋、四国、岡山、福岡からという方もいらっしゃいました。
年代は、平日金曜日の日中ということも有り、年配の方が多いですが、20代から90代の方までいらっしゃいます。

絵の経験は、水墨画の団体展に所属の、私よりずっと経験豊かな方から、中学校以来絵筆を持つのは初めてと言うかたまで様々です。来られた動機もいろいろで、シンプルに展覧会で私の絵を見てこんな絵が描けたらなとか、長年描いて来たけれど伸び悩み何かヒントを、実力の有る手描き友禅の職人さんが純粋に絵を習ってみたかった、水彩をやっていたけれど墨にも惹かれてやってみたい等々。

1人で申し込まれる方がほとんどで、自分の意志でわざわざ京都まできて、3時間、クラスによっては6時間ぶっ続けの授業を受けにくるのですから、私が言うのも変ですが、ちょっと変わった、熱心で面白い人たちが多いように思えます。

 

授業課題

 

授業は初めの一年間は私の絵の模写画中心です。実際にその絵を描いた同じ紙に、同じ道具立てで、用筆、用墨を中心に、どのようにその絵描いたのかという技術と、どうしてそのような絵になったのかという発想を学んでゆきます。

模写は、一年間やるとそれなりにうまく描けるようになります。特に水墨画の経験が有り筆に慣れた人は、コツをつかむと、原画に近い表現が可能になります。

初めはこの画塾では、それだけ知ってもらえればいいかなと思っていたのですが、多くの方が2年、3年、4年、5年と継続して来て頂くことになり、私がそれ以上何の役に立てるのか毎回試行錯誤で授業をしてきました。



水墨画
模写課題 梅香る






模写課題 望郷





水墨画 日本 風景 立山
模写課題 立山礼讃

 



2年目からは様々な季節のモチーフも実際にスケッチし、墨で描くようにしています。

私は里山に暮らしているので、農家の方に分けて頂いた、土のついたままの野菜や、野山の草花等を教室に持ち込み描きます。

モチーフがいいと見てるだけでも楽しいもので、どう描いてやろうかと絵心が自然と湧き上がります。


ほおずき モチーフ 画塾 里山
夏のモチーフ ほおずき





水墨画 静物 ほおずき
夏が終わる





柚子
冬のモチーフ 柚子 

静物とともに自分が目にした風景も絵にしてゆきます。

水墨画というと竹や蘭、桂林や黄山と言った題材を思い浮かべる方が多いかと思います。でもこの画塾で扱うのは、身の回りに有るものや、旅で出会ったもので、描いてみたいなと心が動いたものを、なんでも描きます。

とはいえ、月に6時間の授業で、野外にスケッチに出るというのはなかなか難しいのが現状です。今のところ風景画は、写真をもとにスケッチをして、墨での絵作りを学んでいます。



風景 日本 越畑
風景課題 日本家屋





風景 イタリア 窓
風景課題 イタリア小景





風景 イタリア フィレンツェ
風景課題 イタリア 橋のある風景

 

 

画塾への思い

 

私自身の絵の紹介から始まった画塾は10年が経ち、現在の水墨画の状況少し見えたような気がします。

水墨画という技法は、簡単に言ってしまうと水と墨と筆の使い方です。単純なだけに、技術は習得に時間の要する微妙な、難しいものです。
書を嗜まない現代の学生や画家にとっては、面倒な技術で、即自己表現をしたい若者や作家とってはとっ付きにくい面倒な世界です。

また、書や水墨画の模写の技術を持つ年配のひとたちにとっては、絵を一から自分で描く訓練が無いことが多く、写すことから表現になったとたんに、絵を描く難しさにぶちあたり、その技術をうまく活かせません。
水墨画という絵が、なかなか現代の絵画史に新しい作品を供給出来ない現状は、ここに由来しているといっていいでしょう。

私は特に前者の問題を抱えていたため、筆記用具を筆に換え、模写もスケッチも全て水墨で表し、少しずつ技術的問題を克服してきました。それでもまだまだイメージするものにはほど遠く、毎日 書を中心に用筆、用墨の訓練を繰り返しています。

つまるところ、模写や書を通し、用筆用墨の技術を鍛えることと、実際に見ているものをデッサンすることを通して、絵という表現を理解し感じたことを描けること、この時間のかかる二つの技術の訓練が、この画塾の使命ということになってきました。

言うは易し、成す難し。でもやらないことには始まりません。10年なんてあっという間に過ぎてしまいました。でも毎日続けたことは確実に積み重なり、振り返れば遠いところまで来ています。急がば回れ!!!

 

趣味のだからこそ出来る世界があります。私がいうのもなんですが水墨画はプロという結果を急ぐ人には馴染みません。

ちょっとしたモノの見方や、技術の発見、偶然との出会いを日々喜びとして描き、そのこと自体が目的となる趣味の世界でこそ花開くものだという思いを強くしています。

 


 



 

at 23:27, 篠原 貴之, 画塾について

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